
河野伸氏と森俊之氏によるプロデューサー二頭体制のもと、ピアノハウス/アンビエント/ラテンファンク/UKソウル風など多様なサウンドを展開した前作とは対照的に、今回は河野氏ひとりにプロデュースを委ねたことでとても統一感のある仕上がりとなりました。
全12曲中8曲目まではバラード一切なし!という思い切った構成が、17年間のキャリアで最もグルーヴィーなアルバムという印象を与えています。
全体を繋げるのは、久々にがっつり参加している佐野康夫氏のドラムス、『フツウのこと』以来の大フィーチャーとなる金原ストリングス、そしてとびきりファンキーなホーン隊です。
M-1「LOVE
SONGS」は「最後の曲」を、M-3「Where You Are」は「すべてには理由がある」を、M-6「涙」は「Pale Moon」を、といった具合に、過去の名曲群をブラッシュ・アップさせたようなナンバーが並んでいて、長年聴いてきたファンの方なら思わずにやりとしてしまうはずです。
また、最近のハウス/エレクトロ・ムーヴメントを5年前の『CASHMERE MUSIC』の時点で既に取り入れていたように、実は流行に敏感な側面もある彼女ですが、今回はそういった路線には目もくれていません。
代わって、今後いよいよ再評価が始まるのではないかと囁かれる'90年代のUS R&Bテイストを注入しています。シングルとなったM-10「スロウビート」もですが、特にタイトル曲であるM-2「PURPLE」はモニカの'95年のビッグ・ヒット「Before You Walk Out Of My Life」を彷彿とさせる秀作です。
この嗅覚の鋭さこそ、彼女の音楽が今なお瑞々しさ