全身の骨が砕けるような激痛に襲われた。。
張り裂けそうな腹痛に七転八倒し、

こんなに辛いなら、、
いっそのこと一思いに止めを刺してくれ


と叫ぶわたしの横で、少し痩せた頼りない手が一生懸命に、温かく、留まることなく砕けそうな腰骨を撫でてくれる。。
じんわり温かい温もり、、
久しく忘れていた温もり、、
ときには頬を打たれたこともあり、ときには咳き込む度に猫のように丸まる背中を止め処なく撫でてくれ、気に掛けてくれた優しい母の手。。
自宅出産を決意したのは、出産の瞬間に母に、実の母にそばにいて欲しかったから。。
お世辞にも

仲良し親子

とは言えなかった母娘関係
顔を合わせれば互いに素直になれずに、イライラをぶつけ合っては、鋭い矢のように胸に刺さる言葉を投げ合った。。
『どうせ、、どうせ、、お母さんは、わたしのことが嫌いなんでしょ

』
。。違う、、本当は違う、、本当は愛されていることを実感したかった、、いくら罵声を浴びせられ、けなされても本当は愛されていると、母の愛情を確かめたくて、母を試して追い込むような言葉を投げ掛ける。。
『あぁ、、嫌いだよ

アンタが嫌われるようなことするからだろう

』
淡い期待を無残に砕き、胸が張り裂けそうになるほど痛烈な言葉を浴びせられ、実家に居場所を見出せなくなったわたしは、家の外へと居場所を求め、寂しさと不安、孤独に後押しされ結婚を急ぎ、夢破れ、居場所を失い雪崩れるように実家に帰り、少し経つと喉もと過ぎれば熱さなど忘れ、『愛』『結婚』『幸せにする』と言う甘い蜜に誘われ、実家を出て新天地での生活をはじめ、間もなく夢破れ、雪崩れるように実家に逃げ込むことを繰り返した、、
その度に母は、だらしない娘を軽蔑し、罵倒され、追い詰められ、わたしは居場所をなくし、母娘の心は通うことを忘れた。。
そんな目も当てられないほどの日々を経て、ようやく心から信頼できる相手に出会い、ようやく心の居場所を見つけたわたしは、出産の日を迎えた。。
畳み掛けるように押し寄せる激痛は耐え切れるものではなく、予定日よりも2週間も早く襲われた陣痛に悲鳴を上げるわたしは、押し寄せる痛みに歯を食いしばりながら、震える手で母にメールを送信した。。
『陣痛が始まったの、、
不安だから そばにいて欲しいの。。』
時間は深夜0時をとうに過ぎていた。。
それでも、1時間もしない内に息を切らせ掛け付けてくれた母は、わたしが足元に現れた母の存在に気付くのが早いか、遅いかの間に、懐かしい暖かい手で一生懸命に、傷むわたしの腰を撫でてくれた。。
中学3年のときに、柔道部に所属し練習に励む傍らで練習中の不慮の事故で以来、腰を痛めて、2度と大好きだった柔道が出来なくなってしまったあのときのこと、、
覚えていてくれたんだ。。
あれ以来、、
ずっと腰を患って、ときに痛み止めの注射を打たなければ激痛で歩けない程だったこと、、
覚えていてくれたんだ、、ね。。
どんなに腰痛で苦しむわたしが懇願しても、すがっても、一人でトイレに行くのも困難なほどの腰痛を訴えても、決して仕事を休むことなく、背を向けて時間には家を出て行った母、、
『甘ったれてるんじゃないよ

しっかりしなさい

』
どうせ、、
どうせ、、
わたしなんて、愛されていない、、
絶望していた、あの頃。。
心の中に広が凍えるように寒い海面に張り巡った氷山が音を立てて崩れるのを感じた。。
熱い感情が込み上げ、喉まで出掛かった弱音がスルっと口を突いて出てしまった、、
『お母さん、、』
席を立とうとする母の背中を引き止めるように
『お母さん、、視界に入るところにいてよ

そっち、、
そっち行かないでよ、、
痛くて、不安なんだからぁ〜

』
ワガママな子どもに手を焼くように上げ肩に顎を埋め、大きくため息をついた母は、聞かない子どもをなだめるように、『トイレに行こうと思ったのよ。。』と小さく呟き、でも、そのまま、すぐに背中を撫で始めてくれた。。
その手に励まされ、その声に支えられ、家族や助産師さんに見守られながら母になったわたしは、託された小さないのちへ未熟な
絆のバトンを手渡した。。
これから小さないのちとの
出会いを通して、一緒にいろいろな経験を経て、少しずつ未熟なバトンを成熟した
絆へと一緒に育てて行こうね。。
はじまりは小さな小さないのちだったあなたが、日を増す毎に強く、大きないのちへと成長して行く様をそばで眺めながら一喜一憂する中で、

自分は愛されていない

と虚無感と、失望に苛まれ、空っぽだったはずのわたしと母の間にも、いつだって強い
絆が存在していたことに気付かされる。。
互いに素直になれなかった日々、、
それでも、社会人となり仕事で帰宅が遅くなり、家中の電気が消された真っ暗な家に辿り着き、ノブに手を掛けて玄関をくぐるわたしのために綴られた母からの手紙、、
普段は聞けないような身体を気遣う優しい言葉が散りばめられた手紙。。
中孝介さんの歌う

絆

のメロディーに耳を傾け、歌詞を追いかけると、ふいに心に母のことが過ぎる。。
。。いつでも答えは 僕らのすぐそばに
大切な絆を この手の中 繋いで
遠く離れた母親からの手紙
身体を気遣う言葉が並ぶ
深く深く染み込む愛を
時に僕らは忘れてしまうけれど
いつも目には見えない
「絆」が僕を支えてくれる
いつでも答えは 僕らのすぐそばに
大切な絆を 胸の奥に感じて
素直に愛を繋いでいけたなら
互いに信じあえる
その強さを 守り続けたい。。
日々、誰かの涙と血と声にならない叫びを含んだ悲しい事件が後を絶たない昨今にありながら、語りかけるような表皮を通して肉に染み渡り、血液に混ざり、全身を巡り、心に流れ込む
中孝介さんの紡ぐ
絆
の曲が心地よく流れる部屋で、心地よく規則正しく耳元を掠める2つの息遣い。。
ありがとう。。
この
出会いがもたらしてくれた奇跡が、今まで見えず、触れることも、感じることも出来なかった
絆の存在を教えてくれた。。
☆。・。☆目に見えないものを感じることが教えてくれた大切なこと☆。・。☆
小さな
絆が
ここにも
ほら。。
絆の色って、、どんな色、、?
きっと、、心癒す緑色。。